最近よく聞く「リースバック」って何?
最近よくテレビで「リースバック」という不動産のCMを目にすることがありませんか?この「リースバック」とはいったい何なのか知らない人も多いと思います。そこで今回はこの「リースバック」とは何なのかを探って見ましょう。
一般的に「リースバック」とは、「セール&リースバック」とも呼ばれ、不動産を売却して、その売却した不動産を借り直すことです。自宅などの所有権を持つ不動産を、不動産会社に売却して、その不動産会社と賃貸借契約を締結することで、元の所有者がそのまま住み続けるという仕組みとなります。
似たような言葉で「リバースモーゲージ」というものがありますが、これは自宅を担保としてお金を借りる方法で、所有権を持ち続けながら、借りたお金を返済していくこととなります。リースバックとの大きな違いは、資金の使途が制限されており、金融機関が認めているもの以外には使えません。リースバックは売却代金として受け取るので、使途に制限は無く、何にでも使うことができます。リバースモーゲージは所有権が残りますが、リースバックは売却するときに所有権移転をして所有権が買主に移ることも大きな違いです。その違いをもとにして、今、注目のリースバックのメリットとデメリットを見て行きましょう。
<メリット>
- 売却によって、短期間でまとまった現金を手にできる。
⇒ 自宅を売却する場合、一般的には仲介会社を通して買主を探すので、実際にお金を手にするまでに時間がかかります。リースバックでは、大半が、不動産会社が買主となり、不動産会社と直接契約するので、買い手を探すこともなく即現金化できます。 - 売却後も慣れ親しんだ自宅にそのまま住み続けられる。
⇒ 売却した後も、環境の変化もなく、物件の利用形態が、所有から賃貸に変わるだけで、転勤や転校の心配がありません。精神的・経済的にもストレスが少ないと言えます。 - 広く販売活動をすることがないので、売却したことを近隣に知られない。
⇒ 仲介による売却となると、物件情報をホームページやチラシで公開して買い手を見つけます。そのため、他人に物件を売却しようとしていることを知られてしまいます。金銭的なことや、夫婦間のこと等、不要な噂を立てられるのではないかと、心配する人もいますので、その心配が要らなくなります。
<デメリット>
- 売却価格は相場よりも安くなる傾向にある。
⇒ 入ってくるお金が期待していたものより少ない可能性が高くなります。そうなると、早く現金化できると思い、すぐリースバックに飛びつくのは考えものです。通常の売却価格も調べた上で、リースバックの金額と慎重に比較する必要があります。 - この先ずっと住み続けることができる、必ず買い戻せることが保証されてはいない。
⇒ リースバックでは、2年以内の契約期間で、更新を前提としない「定期賃貸借契約」という賃貸借契約が多いのが現状です。将来的に、物件を第三者へ売却することを目的としてリースバックで物件を買取している不動産会社が多いためです。収益の計画上、賃貸借期間に制限を設けています。リースバックで住み続けられる期間は、限られる可能性があります。自分や家族のライフプランを考えながら、最低限必要な賃貸借期間を検討しておく必要があります。 - 家賃が相場よりも高い場合がある。
⇒ 毎月のリース料(家賃)は、売却価格の7~13%程度で設定されることが多いようです。当然、売却価格が高くなるほどリース料も高くなります。そのため、周辺地域の相場よりも高い家賃を支払う可能性もあります。
このようなメリット・デメリットから、リースバックは次のような人に向いていると思います。一つ目は、学区や会社の関係など一定期間自宅に住み続ける必要があり、今まとまった現金が必要な人で、更に決められた期間を過ぎたら、住み替えることを前提としている方です。二つ目は、今後、リース(賃貸)期間内に、確実にまとまった現金が手に入るが、今は必要な現金が手元になく、まとまった現金が入った段階で買い戻す予定でいる方です。
一番大事なのは、売ってもそのまま住み続けられるとはいえ「定期賃貸借契約」になるので、定めた期間が来たら賃貸借契約は終了するのが原則となります。契約終了時に定期借家を再契約することは可能なので、希望期間だけ再契約を繰り返すことで住み続けられることもありますが、いつかは転居する計画を考えておく必要があります。リースバックは、取り扱っている会社でサービスの内容もそれぞれ異なるため、利用する際には契約条件などを細かく調べておきましょう。