『IT重説』始めました!

 不動産業界はかなりアナログな業界の一つではないかと思います。外部ではかなりのデジタル化が進んでおり、この不動産業界でもデジタル化への取り組みが試験的に運用されてきました。新型コロナウイルスの影響で、非対面による対応ニーズも高まり、社会的にDX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでいることもあり、不動産売買においても、『IT重説』(オンライン会議で使用するITシステムを活用して、不動産売買に必要である重要事項説明を行うこと)が今年4月から本格的に運用される運びとなりました。弊社も本格的な運用前から、このIT重説の社会実験事業者の1社として登録されていましたので、今後はこのIT重説をしっかり活用して行きますので、まずはその内容を簡単に記載しておきます。ご利用の際に参考になればと思います。

 まずは重要事項説明とは何かというと、不動産売買契約の締結前に、宅地建物取引士より、その物件の権利関係、法的な規制、契約に関わる規定などを重要事項説明書に沿って詳しく説明することを指します。①宅地建物取引業者および取引業態、②取引の対象となる宅地・建物に直接関する事項、③取引条件に関する事項、④その他(特約事項)について宅地建物取引士証を提示して行うことが義務付けられています。この重要事項説明は、宅地建物取引士と購入者本人がスケジュールを調整し、当日面会しながら行われてきました。これが、『IT重説』によりオンラインで可能となるため、お客様は「好きな場所で」「任意の時間に」重要事項説明を受けることができるようになります。不動産売買における『IT重説』の流れは、①事前に売主様・買主様からの同意をもらう。②お互いのIT環境の準備と動作確認を行う。(ZoomやSkype等)③事前に重要事項説明書を本人に郵送する。※重要事項説明書の電子化はまだ認められていません!④当日、オンラインでお互いをつなぎ、宅地建物士は取引士証を掲示して、重要事項説明書の内容説明を行う。⑤手元にある書類に署名、押印をして返送してもらう。という流れです。本当に一部がデジタル化されただけですが、多くの契約トラブルにつながるこの部分は絶対に本人を目の前にお互いが合意することが義務とされていただけにこの業界にとっては大きな進歩です。

 IT重説のメリットは何かというと、遠隔地や海外にお住いの方の移動の負担がなくなる。日程調整の幅が広がる。自宅などでリラックスした環境で臨める。本人が外出できない場合でも可能となる。そして、このコロナ禍では非接触、非対面により感染予防ができることになります。これらのメリットに共感していただき、売却・購入者と不動産会社の社員のITリテラシーが更に向上すれば、この状況下の後押しもあり定着していくでしょう。

 まだ問題点もありますが、例えば、非常に高額な物件などやハイリスクな物件をIT重説でしても大丈夫なのか、高齢者等のITに不慣れな方はなかなか取り組めない、個人情報等の漏洩などの心配はないのか、などの声も聞こえてきそうですが、確実にデジタルシフトは進んでいくでしょうし、私たちもその社会に慣れていかないとなりませんね。より便利な世の中になり、快適な生活を手にして幸せになれればいいですね。