家の住み替えは住宅ローンが残っていても可能?買い替え特約など減税措置も

今の家が家族のライフスタイルに合わなくなってきたと感じたら、住み替えを検討すべきタイミング。ただ、今の家の住宅ローンを返済しきれていない場合、なかなか住み替えに踏み切れない人も多いでしょう。そこで今回は、住宅ローン残債がある状態での住み替えについて、利用できる住宅ローンや減税措置について解説。今の暮らしに合った新居で人生のリスタートを切りたい!という方はぜひ読んでみてくださいね。

住宅ローンが残っていても、家の住み替えはできる?

家の住み替えは住宅ローンが残っていても可能?買い替え特約など減税措置も

まず、住宅ローン未完済の状態で住み替えはできるのか、について。その答えは“NO”です。原則として、住宅ローンを返しきっていない家を売却することはできません。

なぜなら、住宅ローンを返済中の家というのは、抵当権が設定されているから。抵当権とは、住宅ローン返済ができなくなったときに、その家を売却して返済に充てるためのものです。そのため、住み替え目的で家を売却したいなら、ローンを一括返済して抵当権を抹消しなくてはなりません。

とはいえ、今の家の売却価格が残債額を上回る場合には、売却利益によってローン完済できるため、住み替えは可能。また、売却価格が残債額に満たない場合であっても、足りない金額を預貯金でカバーできるのであれば売却できます。

そして、どうしても住宅ローン完済が難しい場合であっても、住み替えできないとは限りません。要件さえ満たせば適応されるさまざまな制度によって、住み替えできるケースもあります。

住宅ローン控除を利用中の場合、住み替え後も適用される?

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今の家で住宅ローン控除を受けている場合には、住み替え後も適応となるのか気になるところ。制度の概要について改めておさらいしておきましょう。

住宅ローン控除とは

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは、住宅ローンによって家を購入する場合、毎年末の住宅ローン残高額の0.7%が所得税から控除(控除しきれない場合には住民税からも一部控除)される仕組みのこと。

適用期間は、入居開始から最長13年間(2022年7月時点)。購入した物件が認定住宅(長期優良住宅や低炭素住宅など)であれば、通常の住宅よりも適用条件が優遇される特別措置も受けられます。

一定の条件が揃えば住宅ローン控除は可能

住宅ローン控除は住み替え後であっても受けることが可能。ただし、以下の2つの要件を満たしていなくてはなりません。

  • 住宅ローン控除の適用要件を満たす物件を購入すること
  • 売却対象の物件で節税関連の特例を利用しないこと

住宅ローン控除の主な適用要件は、以下のとおり。

  • 住宅ローンの返済期間が10年以上である
  • 床面積が原則50㎡以上である
  • 自らが居住する住まいである
  • 居住用割合が50%以上である
  • 合計所得金額が2,000万円以下である

また、売却対象の物件で、

  • 3,000万円特別控除
  • 長期譲渡所得に対する軽減税率の特例
  • 特定の居住用財産に対する買い替え特例

の3つの特例を利用していないことも要件となります。

住み替えのときに利用できる住宅ローンの種類は?

家の住み替えは住宅ローンが残っていても可能?買い替え特約など減税措置も

住み替えをする場合に利用できる住宅ローンについて、それぞれのメリット・デメリットを解説します。

住み替えローン

「住み替えローン」は、今の家の住宅ローンの残債分と新居購入用の資金分をあわせて借り入れできるローンのことを言います。

住み替えローンのメリット・デメリット

住み替えローンの主なメリットとしては、以下の3つ。

  • 今の家にローン残債がある状態でも新居を購入できる
  • 住み替え時の売却と新居購入を同時に行える
  • ダブルローンが不要になる

残債分と新居購入資金を同時に借り入れられるため、売却時の抵当権に縛られることもなく、住み替えがスムーズに進められます。旧居と新居の二つのローンを一本化できるところも大きなメリットと言えるでしょう。

ただし、住み替えローンには以下のようなデメリットも。

  • 借り入れ金額が高額になる
  • 厳しい審査を通らないと借り入れできない
  • 売却と購入の決済日が同日にならないといけない

住み替えローンは、新居の価値以上の金額での借り入れとなるため、高額な債務を抱えることになります。また、通常の住宅ローンに比べて利息が高いという特徴も。そのため、しっかりと返済プランを立てておかなくてはなりません。

つなぎ融資

「つなぎ融資」とは、工事の着工金や上棟時の中間金、竣工事の竣工金など、住宅完成までに必要となる費用を一時的に立て替えるローンのことを言います。
住宅ローンは家が完成し、引き渡しされてから融資実行となるため、建築中に必要となる資金はカバーできません。そのため、一時的な資金難を救済する目的でつなぎ融資が活用されるのです。

つなぎ融資のメリット・デメリット

つなぎ融資の最大のメリットは、家の引き渡しまでの費用を自己資金から負担しなくても済む、という点。そのため新居の買い時を逃しにくくなり、理想の物件を購入できる可能性も高まるでしょう。

ただし、つなぎ融資には以下のようなデメリットもあります。

  • 通常の住宅ローンよりも金利が高い
  • 取り扱い金融機関が少ない
  • 住宅ローン控除が適用されない

ちなみに、つなぎ融資は住宅ローンと同じ銀行でのセット契約が一般的。そのため、取り扱いが少ないということは住宅ローンの契約先もかなり絞られることになります。

ダブルローン

「ダブルローン」とは、その名の通り、ローンが二重になっている状態のこと。今の家の住宅ローンとは別に新居購入用の住宅ローンを新たに契約し、2つのローン返済をしていきます。ダブルローンの適用には、今の家の住宅ローンを売却代金や自己資金で全額返済することが絶対条件です。

ダブルローンのメリット・デメリット

ダブルローンのメリットは、今の家の売却と新居購入のタイミングを自分の都合で決めやすいという点。売却や新居購入を焦って進めたり、期限に縛られたりすることがないため、理想の住み替えができる可能性も高まります。また、仮住まいを契約し、余計な家賃負担が発生することもありません。

ただし、ダブルローンには以下のようなデメリットも。

  • ローン返済の負担が増える
  • 今までの家を賃貸物件として収入を得ることはできない
  • 今まで住んでいた家は住宅ローン控除の対象外になる

ダブルローンのデメリットとしては、やはり返済の負担が大きくなるということが第一に挙げられるでしょう。そのため誰でも気軽に組めるローンではなく、資金面に余裕があることが前提になります。

住み替えで住宅ローンを利用するときの手順

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住み替えには、家の売却を先に進める「売り先行」と新居購入を先に行う「買い先行」があります。ただ実際には、家の売却活動中に新居探しも行い、売却と購入を同時進行する方法が一般的。そのケースでの基本的な流れを紹介します。

ローンの種類やプランを選ぶ

まずは住宅ローンについて、さまざまな金融機関を比較検討してみましょう。今の家の査定額や自己資金額に見合うローンプランが選定できれば、住み替えをどう進めていくべきか、明確にイメージしやすくなります。

売却のための不動産会社を選ぶ

売却手続きをスムーズに行うためにも信頼できる不動産会社を選びましょう。その際に、利用したいローンの種類やプランについても事前に伝えておくと安心です。

マネープランを立てる

住み替え、特に今の家にローン残債があるケースでは、ローン返済のリスク管理が重要になります。将来、資金繰りに苦労しないためにも、綿密なシミュレーションが必要になります。

ただ、家の売却価格が確定するまでは明確な返済計画が立てられないことも。また、新居の購入額も定まらないうちは、資金面でのリスクを完璧に解消することは難しいでしょう。

そのためマネープランは、自己資金に余裕がある場合とない場合、2つのパターンを出しておくと堅実。金融機関や不動産担当者からのアドバイスをもとに都度調整しつつ、マネープランニングするようにしましょう。

住み替える新居を探す

住み替えローンを利用する場合には、家の売却よりも新居購入を先行したほうが安心。なぜなら、新居の購入額が早く確定したほうが、借入額を決めやすいからです。

ただし、新居購入を先行する「買い先行」の場合には、「買い替え特約」を条件として付けることを忘れずに。この条件を付けることで、今の家を売却できなかったときのリスク軽減ができます。買い替え特約については、後ほど詳しく解説しましょう。

住み替えで住宅ローンを利用する際に覚えておきたい減税措置

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3,000万円特例控除

「3,000万円特例控除」とは、売却益3,000万円までは非課税となる制度のこと。売却益が3,000万円を超過した場合には、超過した金額分だけ課税対象となります。
主な適用要件は、「売却対象が居住用物件であること」「居住しなくなって3年目の年末までに売却すること」など。詳しくは国税庁が公開する「マイホームを売ったときの特例」で確認しましょう。

10年超所有軽減税率

売却対象物件の所有期間が10年超、かつ要件を満たすことで軽減税率の対象となる特例。先にご紹介した「3,000万円特例控除」と併用可能なうえに、適用要件もほぼ共通しているため、併せて利用することで大幅な節税となります。詳しくは国税庁が公開する「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」にて確認してみてくださいね。

買い替え特例

「買い替え特例」とは、売却益に対する課税を先延ばしにできる制度のこと。非課税になるわけではないので注意しましょう。買い替え特例を利用すれば、今すぐには課税対象とはなりません。その代わり、住み替えた新居を将来売却した際に、まとめて課税されるようになります。

買い替え特例の適用要件は「売却年、またその前年、前々年に減税にまつわる特例を受けていないこと」「売却代金が1億円以下であること」など。他の制度と比べて適用要件が多いため、国税庁の「特定のマイホームを買い換えたときの特例」でしっかりと確認のうえ、利用することをおすすめします。

譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

住み替えで売却損が発生した場合には、「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」の対象となることがあります。この特例では、売却損を給与所得で相殺できるため、給与所得に課税されるはずだった税金分の額を得ることができます。

1年で相殺できなかった場合には、3年にわたって繰り越しも可能。住宅ローン控除とも併用できます。

適用要件は「売却年の1月1日時点で売却した家の所有期間が5年以上であること」「売却対象が居住用の物件であること」など。詳しくは、国税庁の「マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)」をご確認くださいね。

住宅ローン残債がある場合の住み替えは資金計画が大切!

住宅ローンが残っている状態でも、さまざまな制度を活用することで住み替えは可能。ただし、ローン返済のリスクが高くなるなどのデメリットもあるため、しっかりと資金計画を練っておくことが重要です。広島で住み替え検討中、かつ住宅ローン残債について不安がある方はぜひマエダハウジング不動産へ。住み替え時の住宅ローンについて一緒に考えていきましょう。

マエダハウジング不動産公式サイト