土砂災害警戒区域の地価について
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No.21 【土砂災害警戒区域の地価について】
今年も広島で大雨による土砂災害が発生しました。4年前に経験したことが再度起こりました。
土砂災害の報道を受けて、住まい周辺の地形を気にする人も少なくないのではないかと思います。広島市内にも、「土砂災害危険箇所」が多数存在します。これが地価などに影響を与えることはあるのでしょうか。
そもそも、「危険箇所」とは傾斜度30度以上で、斜面の高さが5メートル以上あり、なおかつ付近に人家が5戸以上の(5戸未満であっても官公署、学校、病院、旅館等に危害が生ずるおそれのある)箇所のことを言います。
土砂災害防止法では、土砂災害のおそれがある区域を警戒区域(通称イエローゾーン)、土砂災害があった場合、建築物に損壊が生じ、住民等の生命または身体に著しい危害が生じるおそれがある地域を特別警戒区域(通称レッドゾーン)として定めており、災害時に危険にさらされる区域が決まっております。
イエローゾーン、レッドゾーンなどの指定を受けると、ハザードマップに明記され、場合によっては建築時の規制がかけられます。しかし避難をスムーズにしたり、危険箇所を明らかにすること主眼にした法律なので、指定されたから行政がすぐに傾斜地の補修をするというわけではありません
そのため、特にレッドゾーンに対する抵抗感は強いと思われます。住民の反対が強いため、ハザードマップ上にイエローゾーンはたくさんあるのに、レッドゾーンが少ない地域もあるといいます。しかし近年は、広島の土砂災害(2014年の)後に、地元合意は不要と改めて強く指導が入ったので、指定・公表が速やかに進むようになりました。
住民の感情は、風評で地価の下落や、建築規制によってお金がかかる可能性もあるなどのデメリットを恐れるのも無理はないと思います。
さて、このような「土砂災害危険箇所」の地価は本当に下がらないのでしょうか?
路線価は下がらないようです。ただし、固定資産税を算定する際に補正率によって安く評価する方法を取る自治体はあるようです。総合的にはイエローゾーンでは8割強の自治体で「減価なし」ですが、レッドゾーンだと36%しか「減価なし」はありません。イエローゾーンだと地価は下がらないが、レッドゾーンだと下がる、というのが多いようです。